漫画版「君たちはどう生きるか」感想

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漫画版「君たちはどう生きるか」をにっけさんより譲っていただきました。

https://nikkech.com/book/post-25103/

にっけさんはあんまり合わなかったとのこと・・・

私の感想ですが,端的にいうと,“酷評するほどではないけど絶賛するほどでもない”感じ。

漫画だからこその良さと原作の良さとがあったと思います。漫画版の感想の前に,原作の素晴らしさを語らせてください。原作は本当に素晴らしいのです・・・

吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」について

原作を読んだのは大学2年生の時です。ツイッターをやっていてたまたま知って,大学図書館で借りて読みました。当時の私はとにかく何かヒントが欲しくて,とにかく何かを分かりたくて,気になった本を片っ端から読んでいました。もっとすべきことあったのでは…とか思わなくもないですが,そのときに読んだ本が私の一部になっていて,助けてくれることがよくあるので,あれで良かったんだと思います。著者の価値観,思想がいつまでも私の中に生き続けていくのは素敵。読書っていいなぁ。

…えーと,まずは原作の良さ。原作の良さですね。

原作が出版されたのは1937年。あとがきに書いてあったのですが戦前の思想弾圧の中で著者は軍法会議にかけられたそうです。それでも著者が伝えようとしたことについて思いを馳せると,物語の内容がさらに刺さってきます。

原作が今手元にないので,残念ながら引用ができないのですが,原作ではコペル君の視点や大発見をしたときの感動が瑞々しく描かれています。最初から最後まで第三者の語り部がいて,その語り部がまた優秀なのです。終わり方も最高でした。最後のところだけは漫画にも引用されていました。

コペル君は,こういう考えで生きてゆくようになりました。そして長いお話も,ひとまずこれで終わりです。そこで,最後に,みなさんにおたずねしたいと思います—。

君たちは,どう生きるか。

良い・・・・・ジーンとしてしまいます。

漫画版「君たちはどう生きるか」について

おまたせいたしました!ようやく本題です!

漫画版,嫌ではないんだけどなぁ・・・なんだかなぁ・・・と感じたのが,以下の点です。

おじさんの口調が軽い

私の中でおじさんは,物腰やわらかなにこやかなインテリ紳士のイメージだったので,「〜しちまった」とか「〜だぜ?」とか言ってほしくなかった・・・これはあくまでも個人の感想なのですが・・・

展開がやたら早い

早い。漫画だからひとつひとつを短くしないといけなくて,なんか全てがあっさりしている。人間分子の法則に気づくときの感動とか,そのときの風景の様子とか,雨のにおいとかは?浦川くんとの関わりとか,他の友達の人物描写とかは?ってなっちゃいました。あっさりしていて,ストーリーだけサラっと進んでいく。

お説教感

にっけさんも書いていましたが気づき→教訓の繰り返しで古い道徳の教科書感が否めなかった・・・

 

でも,漫画版だからこその良さや気づきもありました。

コペル君がおじさんのノートの言葉を思い出して勇気をふりしぼる場面はとても好きでした。漫画でこその表現だと思いました。クライマックスへ向かっていく感じ。

それから原作は文章量的にもしんどいしたまに難しいことを言っていたりするので,内容を漫画で確認してから原作を読むのは大いにありかなぁと思います。また原作は時代背景が現代と違いすぎて感情移入がしづらいかもしれません。おじさんの口調がやだと文句をつけましたがそのくらいの方がいいのかなぁ・・・

まとめ

漫画版はすごく読みやすかった。原作の内容が端的にまとまっているし時代背景を現代によせているので理解がしやすかったです。あれをここまでまとめるのは作者の技量だと思います。すごい。ただ省略しすぎて浅さがあったのと登場人物のキャラクターがつくられすぎていて個人的にはちょっと残念。

原文のままおじさんのノートが載っているのはすごく良かった。おじさんのノートは全部最高なので読んでほしいです。ちなみに以下,私が一番好きな言葉です。

およそ人間が自分をみじめだと思い,それをつらく感じるということは,人間が本来そんなみじめなものであってはならないからなんだ。

 

大人が読むにはやっぱり原作かなぁと思います。子どもに漫画版を読んでほしい。もう少し読解力ができたら原作を読みなって言いたいです。原作の,吉野さんの思いが込められた,語りかけるような優しい語り部が好きです。コペル君と話がしたい。おじさんと結婚したい。原作,ぜひ読んでみてください。